「おはよ、セラ」
セラ、まだ眠そう。起きるかな? ……頬にキスしてみる。
「ん、ノエル……おはよ」
「起きれる?」
「寒い……」
ぎゅっと抱きしめてみる。
「……あったかい、ノエル」
……いいけど。別にあっためるためにしてるわけじゃないんだ。
「その……セラ」
「?」
「……好き」
「うん……私も、好き」
「………でも」
「?」
何だろう。すごく嬉しいけど……
「そうじゃないんだ」
「えっ? 好きじゃない……とか?」
「ち、違う。その……好き」
……支離滅裂。
自分でも何がしたいのか、わからなくなってきた。
その動揺を隠すように、セラの髪を撫でる。
「……嬉しい。ふふ、今日は何だか……甘えん坊」
「あ、甘えん坊?」
「嫌な夢でも見た……?」
まだ少しゆったりした口調で、セラも俺の頭を抱えて撫でてくれるけど。
「……違う」
まさか、子供扱い?
いや、俺が伝え下手なのが悪いんだけど。
そもそも、朝一番に言いたいと思ったから、起きてすぐに言ったわけだけど……
こんな寝起きに言うべきじゃなかったのかもしれない。
と、いうか……
もしかしてセラがこんなに気だるそうでぼーっとしてるの、昨晩の俺のせい………?
………
どこまでも深まる、自省。
「その……ごめん」
「どうして、謝るの?」
「もう、よくわからない……」
ホープ、ライトニング、やっぱり俺には無理だったのかもしれない……
諦めるな、なんて言っても、それとこれとじゃ違う。
得手不得手ってものはある。間違いなく。
「もう、ほんとどうしたの。言って?」
言って、と言われても……
「俺……」
「うん」
もう自分だってよくわかんないのに。大体、バラしたら元も子もないだろ?
「そ、その……」
「なぁに?」
でも、……最初から、言うしかないか……
「……ホープが」
「ホープくん?」
「今日は、バレンタインだからって。……普通は女からが多いけど、女からだけじゃなくて、男からも気持ちを伝えてもいいんだって。そういう特別な日だって」
「……それで、さっきの?」
「その、本当は、何かプレゼントしたいなって思った。でも、花を贈ることもあるってホープは言ってたけど、よくわかんなくて。だから、ライトニングと買い物に行ったりもしたんだけど」
「ノエルとお姉ちゃんが?」
顔を上げると、すごく驚いた顔で。
「ご、ごめん。黙ってて」
「ううん、そうじゃないんだけど……すごく珍しくって、驚いちゃった」
「でも、色々あって、選ぶこともできなくて……」
さすがに、ライトニングがホープへのプレゼント選びで悩みに悩んだからなんてことまでは、言わないけど。……それにしても。
「……なんか俺、すごく……言い訳じみてる」
何かできなかったことの理由を挙げたって……意味ないな。
「プレゼントあげられなくて……ごめん。……それと、代わりに何か言えればと思ったんだけど……いい言葉、あげられなくてごめん」
「……嬉しいのは、モノでも、言葉だけでも……ないよ」
セラの、穏やかに微笑む顔。
「何か伝えようってノエルが頑張ってくれた。その気持ちだけで、すごく嬉しい……。それが、一番のプレゼントだよ」
バレンタインには間に合わなかったけど後で追加しました。気持ちを伝えようとがんばってるノエル。よく考えると当サイトでは珍しく純粋にノエセラっぽい文章ですね。他は本当に、友達ノエセラだったり、ノエルミだったり色々なので……好き勝手すぎてすみません。