「ノーエルっ」
「何?」
「はい。ベタだけど、チョコレート!今日バレンタインなんだよ?知ってた?」
「チョコレート?バレンタイン?…知らなかった…かな…」
「あ、そう?じゃあ初めての経験ってことね♪美味しいよ。はいっ、あーん」
「…」
「ほら、早くぅ」
「…何それ」
「もう、これもやったことないのお?」
「ない。知らない」
「なんだ。"セラ"とそれくらいしてたのかと思ってた」
「………」
「ちょっと、またぁ?もーあんた、泣きすぎ!」
「…うるさい」
「まあ、そろそろわかってきたけどさ?」
「わかってるなら…考えてくれ」
「はいはい、わかったってば。うるさいなあもう」
全く、こういうところはほんと面倒くさいんだから。
最初は私を見るたびに、泣いちゃってさ。
失礼な話だよね、こんなに可愛いのにさ。
ようやくマシになってきたけど、ふとした時に、やっぱり悲しそうな顔をする。
…慰めてみても、意味があるのかないのか。冷たくしても駄目、優しくすればもっと駄目。
セラ…ね。
私に、どんな人を重ねてるのか知らないけど。
もうずっと前の出来事に何百年も囚われ続けるなんて、…かわいそうだなってくらい、思う。
「泣いてないでさ、チョコ食べてよ」
「……」
「どれだけ悲しくても、甘いもの食べると元気になるんだって。ルミナお手製チョコなんだから、美味しすぎてノエルもちょっとは元気出るかもよ?」
「…うん」
「どう?どんな味?」
「……、美味しい」
「…よかった」
うん。
悲しいばかりじゃなくて、辛いばかりじゃなくて。少しでも、穏やかな気持ちでいてほしい。
たかだかチョコだって、それで少しでも気持ちが紛れるなら、やってあげる。私の顔見て泣かれるより、ずっとマシだしね。
世界に終わりが訪れるとしても、この寂しい人がもう少しだけ笑顔でいてくれたら——…
なーんて殊勝な心がけで、私が終わるわけないんだけどね? うふふっ
ノエルとルミナが一緒にいるという辺りの話から来たLRFF13発売前妄想を、ルミナ視点で。バレンタイン企画の一部として書きましたが、LRFF13発売前妄想として別出しして別タイトルにしてみました。…ルミナの人物像は、ライトさんや世界をおもちゃにする小悪魔…何それ…くらいにしかわかってません。混沌の溢れた世界の食事情とか物流事情といった話は気にしないでください(^^; い、いえ、別に管理人は、決して闇堕ちとかめそめそしてるとかそんなノエルを書きたいわけではないです…よ