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子育て奮闘記 〜 たくさんのしあわせ(前編)

×こどもの日で○ろくさん@gansuns_6からの派生妄想で、いろいろすっ飛ばしたノエセラ子育て奮闘記の続き5。 空柴さん、ろくさん、たかせさんのTweetが自分の中で合体して出てきたお話です。 ※LRFF13ネタ+後日談小説ネタありなのでご注意下さい! 前の話 まもってくれた人 「ほら、ママだぞ。まーま」  子どもの両脇を抱えてセラの方に向けると、セラはどこか照れたように「うん、ママだよ」と笑った  すると子どもは目をくりくりさせながらセラを見て、小さな口を開いた 「ま……ま」 「よーし、正解。ママだな。天才!」 「ふふ、ありがとう」  セラは、子どもと俺のどっちにも微笑んだ  そんな風に子どもの反応に喜んで、それから向きを変える 今度は俺の方 「なあ、パパは? ぱーぱ。言えるか?」 「あー……」 「あー、じゃない」首を振って、違うぞと示す。心持ちはっきりと、発音する「ぱ、ぱ」 「……ぶー?」 「ぶー、でもない。ぱぁーーー、ぱ!」 「ま……ま?」 「……違う」  がっくりと、ついうなだれる 「……まあ、いいか。まったくお前、ママばっかだな」  そんな会話に、2方向からくすくすという笑い声 「何だお前、ママと違って、まだパパって呼んでもらえてないのか」 「……ぐっ」(;゙゚'ω゚') 「お姉ちゃん。ノエル、これでも結構気にしてるんだからね」  とか言ってるけど。セラだって、笑ってるし 「そうなのか? それはそれは、かわいそうにな」 「全然、かわいそうに思ってないだろ……」  ほんと、二人して笑ってさ  まあ呼ばれてないのは、事実…… 「まあ仕方ないだろう、こればかりは。まだ言いにくい言葉もあるだろうしな」 「それは……理解してるつもりだけどさ」(ヽ’ω`;)  でもやっぱり、反応があるのが嬉しいから  少しずつ、笑うようになって  俺やセラの問いかけに対して返事をすることも増えてきて  教えれば、ちゃんと言葉も言おうとしてるみたいで  そういう全てのことが、嬉しい  だから少し、あとちょっとって急いでる感覚は、自分でもわかるけど  エクレールに対しても、同じ  生まれて少しした時は、まだ動けないし エクレールのこと、目で追うだけだったけど  今は、違う ちゃんと、手を伸ばしたりして 「まあ、いいけど。ほら、エクレールだぞ。えーく」  またくるっと向きを変える 子どもがエクレールの顔を捉える 「ノエル。これでこの子が、ちゃんと私の名前を言えたらどうするんだ?」  エクレールが、少し悪そうな……とは言わないけど、そんな笑みを浮かべる 「……えっ?」  あ、あんまり考えてなかった 「そこまでは……想定外」 「どうかな? 言えちゃうのかな?」  3人の視線が、子どものつるっとした顔の小さな口元に一気に集中  自分で言わせようとしたはずなのに、一瞬で焦る 「え……」  子どもはぱたぱたと手を上下に動かして、足を伸び縮みしながら、一つめの音を発した 「えく、だよ! えく!」 「セラも……面白がってる?」 「ふふ、だって」  え、までは言えてる あとは、く だけど  ぱぱ、よりも、すぐに言えそうな気がする  ずるいな 羨望の眼差し 「ほら。言えるだろう? エクレール、だぞ」 「……え……」  子どもは手をばたばたさせながらも、次の音はなかなか出てこなかった  意外にも、難しいのか?  それでも頑張って言おうとしてる姿を見ると、あと少し、って思う 「え、く! だぞ! えーく!」  子どもは何とか、半開きの口をとがらせた  緊張が、高まる 「え……うー!」 「……ああ」  はあ、と脱力する3人 「安心した? ノエル」 「えっ?! ま、まあ……その。そうだな」 「正直だな」 「もう少しなんだけどねえ。パパもエクも」 「まあ、今は駄目でも。お前たちの子どもなんだし、きっと覚えは早いだろうな」  ――お前たちの子どもなんだし、か  何気なく言った言葉なんだろうけど 少し不思議な感じで、くすぐったくて  思わずセラを見たら、目が合って  お互いに、口元をほころばせた 「……そうだな。今から鍛えたら、すごい男になるかもしれないな」 「き、鍛える?」 「そうだ。甘やかすだけがいいわけじゃないだろう」そう言ってエクレールは、俺の足元の子どもに向かって手を伸ばした「ほら、おいで。走れ!」 「走る?!」  子どもは歩き始めたとは言え、まだ転んだり、つかまったりもするし  でも—— 「ほ、ほら……お姉ちゃんが呼んでるよ!」 「エクまで、走れるか?」  子どもを持ち上げて、身体を伸ばしてやって  足が床に着くように、置いてやる 「うー!」  エクレールまでの、ほんの少しの距離  右の足を右半身ごと前に出して、左の足を左半身ごと前に出してを繰り返しながら  とてとて、と進んでいった  走ってる、とは言いにくいけど それでもいつもより早い  その先に、両手を広げたエクレール 「だー!」  そのまま子どもは、エクレールの膝の上に飛び込んでいった 「着いた!」 「よしよし、よくやった。いい子だな」  エクレールが頭をなでてやると、子どもは嬉しそうな笑顔を見せて  膝の上に登って、エクレールの顔に手を伸ばした 「ふふ、お姉ちゃんのこと、すごく好きみたいだね」  エクレールは身体を支えてやりながら、顔はぺちぺちと触られるがままになってた 「そうか。なんなら、うちに来るか? もっと鍛えてやるぞ」 「そ、それは駄目だぞ!」 「まったく、冗談だ」  たまには目のあたりをばちばち触られながらも、エクレールは優しい顔で応対してくれた 「あー、たーたー」  そんなエクレールに向けて、子どもは何かを主張し始めた 「え、あーた、だあ」 「何か、お姉ちゃんに一生懸命、話しかけてるみたい。ね、お姉ちゃんもお返事してあげて」  優しく、時に厳しくも(?)応対してたエクレールも、セラの言葉にはさすがに困った表情を浮かべた 「お返事って言われても……これ、話しかけてるのか?」 「そうだよ、ほら」 「え、あた」  エクレールは困った顔のまま、さらに近くまで寄せてきた子どもの顔を見つめた 「思ったままでいいんだよ」 「思ったままって……」困った顔で、エクレールは今度は俺の顔を見た「ノエル、お前ならどうするんだ?」 「えっ? 俺?!」  急に話を振られて、戸惑う  普段どうしてたかなんて、あんまり覚えてないし 俺だってわかってるかっていうと、怪しい 「えっと、そうだな……」でも何とか、答えないと「えってのは、エクなんじゃないのか?」 「そ、そうなのか。よくわかるな」 「た、多分……俺も手探りだけど。と、とりあえず言ってることを、繰り返してみる! そうすると何言ってるかわかる、かも! そうすれば返事もできる! だ、大丈夫! エクレールなら、やれる! 確実!」  我ながら何の信ぴょう性もないアドバイスだけど それしか言えない 「繰り返す……」 「あた、たあ」  変わらず子どもは、エクレールに向かって嬉しそうに何かを話してる  エクレールは子どもの身体を両脇から抱きかかえたまま、子どもの顔をまじまじと見た 「あた、たあ、か。……あたた……。お前、どこか痛いのか?」  そ、そうなのか? 「え、あーたあ」 「……えあた……何だそれは」 「うー、う」 「うーう。うう、……うーーーーーむ」  エクレールは小さくつぶやいて しばらくして、諦めたようにふうっと息を吐き出した 「……お前の言ってることは、さっぱりわからないな」  苦笑いで子どものおでこを軽く中指でぴん、と指さすと、子どもは――ぐしゃっと顔を崩して、泣き出した 「……う、うえええええええん」 「な、何だ」さすがのエクレールも焦ったのか、すぐにおでこを撫でる「そんなに痛かったのか? す、すまない。ノエル、お前のせいじゃないのか!」 「えっええーΣ(゚д゚;)」 「よしよし、おいで」セラが手を伸ばすと、子どもは膝をつきながらもセラの方に すり寄った「言ってることわかってもらえなかったのが、悲しかったのかな?」 「……やっぱり、私のせいなのか」  幾分エクレールはしょんぼりして見えた 「そうは言っても、あんな暗号わかるわけないだろう……」  ……というか。子どもって存在にどうしたらいいかわからないことがあるのは、俺だけじゃないんだな――なんて、密かに実感する  エクレールだって、子どもは可愛がってくれてるし。大体普段なら、そんなことじゃうろたえないはずなのに 「もうちょっと言葉覚えたらね、もっとお話できるようになるよ。ふたりとも、もうちょっとだよ。ね」 「……すまなかったな」  エクレールは申し訳なさそうに、後ろから子どもの頭と背中を撫でる  子どもは「だーうーあ!」と嬉しそうに気を取り直して、俺たち3人の間をゴロゴロしたり、行ったり来たりし始めた 「でも——」エクレールが、「言葉、もう話せるんだな。早いものだな」  日々俺が思っていることと同じことを口にした 「ね。本当に、早いよ。少しずつ意味のあることを言い始めてる気がするよ」  言葉もそうだし、身体もそう  抱き上げた時の重みが、全然違う 前はもう少し、軽かったのに  それに足も、ちょっと前までは心配するくらい短くてガニ股だったけど 心なしか伸びてきた気もする 「あんまり来てないと、すぐに大きくなってしまいそうだな」  毎日一緒にいたって、同じように思うのに たまにしか会ってなきゃ、余計にそう思うんだろうな 「ふふ、そうだね。また来てね」 「ああ、そうするよ。その頃にはノエルも、パパってちゃんと呼ばれてるといいな」 「……そうだよな……」  その頃になっても、パパって呼ばれてない? それは——さすがに…… 「でもさ。やっぱり子どもにとっては、パパよりママなのかな……」  最近、よく思ってること。泣いた時なんかは、やっぱりママのほうが良さそうだし 「それはそうだろう。一緒にいる時間が違うんだからな」 「そ……そうだよな」ド─(lll-ω-)─ン 「大体、パパの方がだのママの方がだの、比べるのがおかしいだろう。そんなことで自信をなくすな」 「わ、わかるけど。比べてるわけじゃない。そうじゃないけど……何ていうか——」  何なんだろうな  うまく言えないけど 「セラはすごくいい母親だと思うけど。俺は、この子にとってどんな父親になれるのかな、って——」  言ってから、驚いた 「……そんなこと」  ほんとだよな  俺、そんなこと思ってたのか、って  でも確かに、少しずつ考え始めてる  ——産まれてすぐの頃は、そこまで考える余裕なかった  腹が減ってないかとか、減ってたらセラを呼んでとか、おむつなら俺が替えてとか、夜起きたらどうにかあやしてとか  そういう本能的な、生理的欲求を満たしてやりながら  もちろんやっぱり、かわいくて ずっと見ていても飽きなくて ただ時間が過ぎた  そう、時間が過ぎて——子どもも少しずつ少しずつ大きくなって  俺自身、子どもがいる生活にも、だんだん慣れてきて  おむつ替えるだけじゃなくて、遊んだり、少しずつコミュニケーション取ってきて  どういう風に育っていくのかとか、考えるにつれ  俺自身はどうあるべきか、なんて少しずつ考えるようになった 「父親の記憶も、なくて。どうしたらいいのか、お手本もなくてさ——」  そこまで言って、ふと思い浮かぶ顔があった 「あ。……サッズをお手本にすればいいか。いい父親、だよな」  そう言うと、セラとエクレールは顔を見合わせた 「——まあ、サッズはいい父親だと私も思うが。お前があいつの真似をするのか? 性格だとか、中身が違うだろう」 「……中身が違う、って言っても」 「納得できないか?」  確かに、同じじゃない。だけど…… 「だって、お手本にするくらい——」 「じゃあ……せめて、アフロにしちゃう?」  ん? ……ア フ ロ? ( ̄ー ̄?) 「いい発想の転換。キャラが違うなら形から入って——っておい、セラ」 「……確かに、そういう考え方もあるか。アフロにすれば、ゆくゆくはサッズのようになれるかもな。もうチョコボはいないから、代わりにニワトリのひなでも頭に乗せてな」  エクレールまで言うから  試しに、ぼんやり想像してみる (´-`)   。    ○     ◯  ぼんやりと……
( ・✧・)ピヨ ,.::::.⌒⌒::::::ヽ (::::::::::::::::::::::::::::) (::::::::::::::人:::::::::ノ (:::: ( ・∀・):ノ  ̄ / つとl しー-Jアフロはじめました〜  そのうち巣、拡張……    ;;;;;;;;;ヽ.     ,、,、、、  //;;;;;;;;;;ヽヽ    >-,〉ケコー ///;;;;;;;;;;==ヽヽ,,,,,-,',,,,,,,,了 |l!゙   ''!illllli゙/  ノノノノノl |l    ゙!il!゙/    ./ノノノ      ヽヽ,,,,,,,,/ノノノ       ヽllノノノノノ         |/.|/          ´k´k    ,.::::.⌒⌒::::::ヽ    (::::::::::::::::::::::::::::)   (:::::::::::::::::::::::::::;:::)   (::;::::::::::::::::::::::::;:::)    (::::::::::::::人:::::::::ノ    (:::: ( ;´Д`):ノ     ̄ /つ lつ    しー-J<お、重くなったな……)            (頑張ってノエル!>
    ◯    ○   。 (;´-`;) 「——ノエル。お前のいう”いい母親”は、こんなものだぞ」 「えっ?! あ、う、えっと」 「それでもちゃんと母親なんだからな。安心しろ」 「そ、そっか。納得!」 「もう。お姉ちゃんもノエルも、ひどいんだから」  それでも、笑いあう  ——妙な形ででも、自分が励まされたということ以上に  こんなところでも、セラとエクレールが楽しそうに話してるのが、嬉しかったりもする 「実際、いろんな人がいる。それぞれの人に合った役割があるもんさ。関係性も、それぞれで。  それに、その時々によっても違う。——サッズだって実際は、ドッジにとって常にいい父親でいられたわけじゃない」 「そうなのか? 意外」 「まあ、……あの500年間のことだがな」 「ああ……そっか」  それ以上は聞かない  でも、わかる  あの時は、どんな人でも、何が起こってもおかしくなかった  そういう、状況だった 「それでも、今はまた仲良し親子だからな」  そうしてエクレールは、ふと遠くを見るように見上げた 「そういえばホープも——最初は、父親を嫌っていたな」 「……そうなのか」  ホープの過去の話も、聞いたことあるけど。そこは、詳しくは聞いてなかったと思う 「いろいろ、すれ違いがあってな。……だが、ルシとして追われて——ホープの父さんは、誰よりもホープのことを案じていて、ホープもそれを理解した。それ以降だ、ホープがちゃんと父親に向き合うようになったのは。"あの世界”では、タイムカプセルに乗る前に残念ながら父さんは亡くなってしまったが——それまでは互いに理解しあい、互いをサポートしていた。そういうこともある」 「……そっか」あのタイムカプセルの時の話は聞いてたと思ったけど そんな背景があったなんてな「いろんな形があるんだな。みんな、それぞれの事情があってさ」 「そういうことだ。だから、その時々で多少の波があったとしても、気にするな。長い目で見ればいい。……家族なんだからな」 「……うん。ありがと、エクレール」  話に出て、思う  ホープ 今、どうしてるのかな  最近忙しくしてるのは知ってる  研究者として、名が知られてきていて いろんなところから声がかかって  ホープが頑張ってるのは、俺にとっても刺激  俺も頑張らないとな、って思わせてくれる人の一人  だからそれは嬉しいことで、応援したいことで  でもたまには俺も、面と向かって会いたいと思う時もある 「……ホープに、会いたいな」 「うん……そうだね」小さくつぶやいた言葉には、セラが同意してくれた「今日こそ、お姉ちゃんと一緒に来てくれると思ってたのに」  セラが言うと、エクレールは眉毛を上げた 「……すまないな。あいつもバタバタしてるから、誘うのは気が引けた」 「……そうだよね。ホープくん、ずっと忙しそうだもんね」 「でも、休日もやっぱり忙しいのか?」  エクレールは、うーん、と唸った 「そうとも限らない。さすがに休む時だって、ある」 「まあ……じゃあ今回は、ちょっと都合が悪かったんだね」 「いや」エクレールは妙に言葉を濁した「……一緒に来ると、うるさいかと思ってだな……」 「……うるさい、の?」  エクレールは自分に手を伸ばしてくる子どもをあやしながら、もう一回、静かに唸る  少しの沈黙  しばらくしてエクレールは、大きな溜め息をついた 「いつも、そうなんだ。お前たちの話をすると、僕たちはどうしますかいつにしますかって。私は、まだいいって言ってるのに」  思わず俺とセラは、顔を見合わせた 「……えっと、……」  こういう時、なんて言えばいいのか。そういうこと言い合ってる場面は、思い浮かぶ気がするけど 「それは、その……なんだ、つまり——」 「——倦怠期……なの?」 「……ち、違うだろ、セラ!」 「だ、だって、ひょっとしてって……じゃあノエルなら、何て言うの?」 「え、えっと……そうだな、ええと、えーっと……」  答えに詰まっていると、エクレールは続きを引き取った 「まあ、な。倦怠期といえば、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。とにかく、自分自身の話になることを、今は避けておきたい」 「……そうなんだ」セラは、うーん、と首を傾げた「……お姉ちゃんは……そういうの、嫌なの? 無理にとは、もちろん言えないかもしれないけど。でももう、ずっと一緒に暮らしてるんだし。もうそろそろ……とか」  ホープはエクレールをずっと探してたのに、エクレールはホープに会おうとしない時期があった、って前セラに聞いた  でも、今は違うのにな 「一緒に暮らしてるから子ども、と直結はしないだろう」 「そうかもしれないけど。でも、ホープくんはそうしたいんでしょう? お姉ちゃんさえよければ——」 「私は、そんな柄じゃない」 「そんなことないのに。お姉ちゃんだって、子どもに優しいよ? こうして、たくさん遊んでくれてるし」  ねえ、とセラは子どもに顔を近づけて同意を求めると、わかってるのかわかってないのか、「う!」と返事をした 「それは、セラの子どもだからな。可愛がる他にないだろう」 「自分の子どもだって、同じだよ。もっとかもしれないし」 「仮に、そうだとして。大体あいつも、今は忙しいんだ。出張やら何やらで、帰ってこないこともザラだ。このままじゃ、一人で育てるような生活かもしれないしな。私にはそれをやってのける自信はない」 「そっ、そんなことないよ。ホープくんならすごく可愛がってくれそうだよ」 「忙しかったら、仕方ないだろう?」 「……じゃあ」必死で食い下がってたセラが、ふいに声を低めた「——私たちがお姉ちゃんの近くで暮らしたらいいのかな」 「えっ?」俺とエクレールの声が重なった「……引っ越し?」 「うん! そしたらお姉ちゃんの子どもも一緒に育てられるじゃない?」 「そ、それもまた発想の転換——」  えっと、何だ? 一瞬で想像する  一家でエクレールとホープの家の近くに引っ越して  それで子どもが生まれたら、セラと俺が二人の育児に協力する?  ま、まあそれも楽しそうだしな 子ども同士でも遊べてさ  仕事とか家とか、どうするんだ? 「そういう心配がなくなればお姉ちゃんが一歩踏み出せるなら、私も協力したいの」  セラのその気持ちは、理解してる ……エクレールのためだもんな  ——だけどエクレールは、静かに首を振った 「私には……まだ早い」 「……お姉ちゃん」  セラは意気消沈して見えた 「すまないな、セラ」エクレールは、困ったように笑った「――この世界の行く末を見るまでは、私には、まだ早いんだ」 「……この世界の、行く末」  柔らかい顔で子どもを見つめてたはずだけど  そこに、押し込めたような苦しさが現れて  俺の中が、ずきん、と痛んだ 「この世界に転生して、しばらくは誰とも会わないで、過去に向き合って――ある程度、片をつけたはずなんだけどな」  そう言いながらエクレールは、苦々しく笑った 「……完全に整理をつけるのは、難しいって――俺も、思ってる、けど」  俺だって、同じ  もう解決したはずの感情、って言っても ふとしたタイミングで出てくることなんて、ざらで  この前も、セラに言ったこと 『俺が、守れなくて――ごめんな』  結局はライトニングが、セラや世界を救ったことに——嫉妬にも似た感情を抱いてたことが、恥ずかしくもなる  エクレールだってこうして、整理しきれない苦しい気持ちをどこかで持ってるのにな—— 「すまないな、ノエル。まだこの子が生まれる前、お前は子どもが生まれること、ずいぶんと心配していたな。  大丈夫だと私が言ったところで……本当は、説得力がなかったな。私自身がこうなのだから」 「いや……いい」 「ホープは——あいつは、ブーニベルゼに記憶を曖昧にされたから。今記憶があることが嬉しいと何回も言っているが。  私自身は……覚えていてよかった、と思うことももちろんあるが。過去の記憶を持たずに今を生きている人たちを見るにつけ、どちらがいいのかとふと考えることもある」  そう言って、エクレールは視線を落とした  重々しさを、たたえて 「——ルシになって、女神の騎士になって、解放者になって。救えた魂も、ある。救えなかった、魂も。  あの時は、そうするしかなかった。でも、いっときの感情に、囚われて 神を、殺めて  そして私たちは、この新しい世界に生きている——」 「……後悔、しているの?」 「いや……ただ、責任を、感じてるだけだ。私は、身勝手な人間で――自分の都合で、たくさんの人を巻き込みすぎた。そしてその結果——」  いくつか言葉を選ぶように、エクレールはゆっくりと次の言葉を言った 「なあ、セラ、ノエル。……ルシにも、神にも、何者にも支配されない世界——ここは、幸せかな」  ……すぐには、言葉が出てこなかった 「ノエルには、ルクセリオで聞かれたな。"それは、神が創る楽園なのか”――と。  当たり前のように生きて暮らす人々が、力を合わせて築く世界だ……と、私は答えた。それは、覚えている……が。……本当に、そうなってるのだろうか」  この世界で見たことは、たくさんある  “みんなが生きてる世界” それには、間違いないけど——  世界が変わったって、人は、争うものなんじゃないかって  そんな風に、絶望感を抱いた時もあって 「お前たちも知ってる通り——この世界は、完全じゃない。だからこそ――この世界の行く末を見る。それが、今の私の、最低限の責任ではないかと」  それは、俺だって  セラだって あの世界を救えなかった私が、子どもたちに何を教えられるのか——なんて、泣いたことだって、ある  でも、だけど——  ……それでも、世界のために 小さなことでもいいから、一緒に頑張ろうって…… 「それなのに、だ。それ以上、私に何が望める?」  喉元まで出かかっていた言葉が、強い口調に押し込められる 「ホープは、確かにそばにいてくれるさ。……忙しいのにな。あいつはあいつで抱えてる気持ちもあるから、今度こそこの世界のために——って頑張って。だから家にいない日の方が、多い。私だけに時間を割いてられない。第一、そんなことしたらぶっ飛ばすけどな。——でも」  深呼吸するように、大きく吐いて、吸って 「それでも……帰ってくるんだ。あいつは」  首を振って、また吐き出すようにエクレールは言った 「……それで、十分なんじゃないか? ……今の私には、それ以上を望めないさ」  気持ちも、わかるから  エクレールの思いを全部わかってるかって言われたら、自信はないけど  この世界に対する思いは、俺だって同じだから  だからこそ、下手なことが言えなくて  エクレールの辛そうな笑顔を、見るしかなくて  そんな矢先に—— 「だあ!」  ばちーん、と、この会話に似合わない音がして 「お、お姉ちゃん! こら!」  子どもの両手がエクレールの顔に、張り付いていた。その後もべちんべちんと片手ずつ顔を叩く 「たーあーばーばーだーだーだ!」 「……意外に、痛いな」 「ご、ごめんねお姉ちゃん……! もう、顔は叩いちゃだめでしょ?」  慌ててセラが立ち上がって、子どもをエクレールから引き剥がそうとする 「いや、いい。大丈夫だ」  子どもをセラに引き渡す代わりに、その小さな身体を抱え直した 「いい一発だった。両手だから、二発か? やっぱり、見込みがあるな」 「あー、ばー!」 「辛気臭い話をするな、遊べということか?」ふう、と苦笑い「まったく、私も言葉がわかるようになったかな」  子どもの手を取って、踊らせるかのように上下に振った 「遊びたいか? 遊びたいのか?」 「えー、あうー!」 「じゃあ、遊ぶか。セラ、ノエル。この家までの途中で芝生のある公園があっただろう。そこに行くか」 「あ……うん! 準備するから、待ってね」  結局大したこと何も言えないまま、外に出ることになった 続く
ろくさん@gansuns_6、空柴さん@utsubushi022、たかせさん@taka0357さんがそれぞれTwitterでつぶやいていたのを拝見していたら なんとなく頭の中で子育て話と合体してしまった…というお話です。 まだ空柴さん、たかせさんのつぶやいてた要素まではたどり着いていないのですが…(^^; 長くなったのでとりあえず途中までで更新です。 素敵なつぶやきありがとうございます…!&書くにあたり、つぶやきを使わせていただく許可をいただきありがとうございます!! まずろくさんがおっしゃってたのは、ライトさんとの絡み!! 最初はもうノエセラしか出ない予定だったのですが(笑)浮かんでしまったのでおいでいただきました。 実はLR後のライトさんとのキャラが自分の中でふわふわとしててですね(笑)基本変わらず不器用だけど前より柔らかい?でもルミナの要素もある?!ということで、イメージが固まってなかったんですよね… ろくさんとしては、「不器用なノエル」+「ライトさんもややおろおろしながら世話してたり」+ライトさんのイメージは「微笑みが昔より柔らかくなったとかの変化」&「目一杯お姉ちゃんしてたら」〜というようなイメージをお持ちのようなのですが… なんとなくそういう感じを目指して書き始めたんですが、多少なりともそんな雰囲気になっていたら嬉しいです! 自分としては、3人で雑談してる感じすら楽しいんですが(笑) それと途中変な鳥とか入れてすみませんw 全体的にあっちこっち行って散漫になりましたかね…でも自分が楽しかったので…ww それにしてもセラさんの天然ボケ回答は苦労しました 笑  ホプライじゃなくてもいいかななんて思ってましたが(爆)そういえば前それっぽい話を書いてたので継続してます(こんなんですみません…) お読みいただき、ありがとうございます!

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