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Echoes of You (5)

勇気を持てたら ※ファミ通後日談小説ベースのノエセラなのか何ものか、です。 Echoes of You (4)(すごくシンプルな言葉)へ  一日に何度も、同じようにため息をつく  ふと横を見ると、校舎の大きなガラスに映る私は、何かに向かって歩いていて  だけど、歩き方には力がなくて——暗い顔  取り組んでいたことがたったさっき、一つ終わったのに それでもまだ、不安そうで、緊張していて  "それ"への恐れが、そこに現れている  通路の暗がりを抜けて 校舎の外に出ると  照りつける太陽 短い影  逃げ場なく、晒される 「は〜、終わったね! みんな、お疲れ様!」  教授への報告会が終わって、真っ青な空の下に飛び出すと  解放されたように、ゼミのみんなは嬉しそうな表情を見せた 「結構、色々考えたよな。教える内容より、違うことに頭使った気がする」  ——数ヶ月前、教授は言った 『3〜4人でグループを組んで、中学校にボランティアに行くこと。教室の外で、できる限り教科書を使わずに、担当の科目を生徒に教えてくること』  私たちは、色んな知識を身につけてきていたつもりだったけど  教室の外で、教科書を使わずに……と言われたら、戸惑った  どこに連れて行くのがいいのか、何を使って教えるのがいいのか——教育手法について書かれた本もあさりながら、実際どうアレンジするかとか、アイディアを出し合って考えた  それで生徒相手にいくつかの手法を試してみて、反応がどうだったかをレポートした 「ほんとそうだよね。もちろんそれも大事な要素なんだけど……今回はすごく実感した。勉強になったね」  口々に、それぞれの感想を言い合う 「実際に生徒たちと接することができたのは、よかったよね。難しかったけど、やりがいはあった」  そう いい生徒たちだったって思う  いろんな生徒がいるけれど、それでも素直な子たちばかりだった 『セラ先生!』  子供たちは素直で  きらきらとした目で私の話を待ってくれた  私の担当する科目は、もう一つの専攻でもある”歴史"  教えること自体は、全く問題ないはずなのに  だけど……—— 『セラ先生?』 『……どうしたの?』  子供たちが、私の話を待ってる  だけど、……私は—— 「セラも、お疲れ様!」  地面を見ていた私の視界に、ふっと友達が、入り込む  慌てて前を向くと、心配した顔 「大丈夫? 何だか、元気ないみたい」 「そ、そうかな?」 「そうだよ。無事終わったんだよ! 先生もいいって言ってくれたし! ね!」  ひゃっほうって手を空に振り上げるようにして、笑顔を振りまいた  そう、無事に終わった 教授への報告は  だけど——  ……教授への報告が終わったからって、自分の心に刺さったモノは抜けない  それは、終わりじゃない  終わることなんてないのかもしれない—— 「資料まとめも大変だったし、疲れてんじゃないのか? 昨日、ちゃんと寝たか?」 「う〜ん、ちょっと睡眠不足なのかもね」 「まあ、夏休みなんだし! ゆっくり休んで、楽しまないとね。それでセラは、どうするの? 今年もやっぱり家族と一緒に過ごすの?」 「そうしたかったんだけど……予定が合わなかったの。今年は、この辺にいるつもり。ちょっと勉強もしたいし」 「そうなんだあ。——でも、夏休みなのに、もったいないね。少しでも、旅行にでも行けばいいのに」 「でも、昔の友達が来るんだ。だから、少しは夏休みっぽいこともあるよ」 「昔の友達かあ、いいね! それも楽しそう」 「——うん、そうだね」  心の中でまた一つ、ため息をついた  昔の友達、か 「もう試験勉強?」 「えっ?」 「勉強したいっていうから。もう教員採用試験の勉強でもするのかと思ってさ」  みんなと解散した後、家の方向が一緒の人と歩いた 「あ、ううん。今は——研究室に残ろうかなって思ってるんだ。まだ考え中だけど」 「研究室ぅ〜〜???」  ……大げさとも思えるくらい、驚かれた 「てっきり、すんなりどっかの小学校の教師になるんだと思ってたけど」 「うん。私も途中まではそう思ってたんだけどね。もう少し考えたくて」 「……モラトリアムですか?」 「ほんと……今更だよね」  自分でも、苦笑い  彼は驚いて、眉毛を持ち上げて言った 「大学入ってさ、セラに会って。学校の先生になるんだって最初から言ってたし。歴史も好きだから歴史を教えたいってはっきり言ってたから、セラ先生は迷うことなんてないと思ってたなあ」  自分だって、そう思ってた  それは、"過去の私"の、望みだった 『先生か。うん、セラらしいよな』  先生になりたい——そう言った時、スノウは応援してくれたんだよね  スノウもきっとまだ、私が先生になるものだと思ってるんだろうし  それに—— 『セラ先生、か』 『生徒なら、ここに一人』  そう言って青空みたいに笑って、応援してくれた”昔の友達"に——  今の私を見せたら、どう思うんだろう 「ふ〜ん? でも、急に何でさ?」 「自分でも……よくわからない」 「えええ。なんだよそれ」 「多分……自信がなくなったんだ」  自信なんて最初からなかったのかな、とも思うけど 「生徒達と話すのは好きだし、歴史を教えることができたら、って思ってたはずなのに。そのために今まで勉強してきたのに。でも——」  だけど、怖くなった 『セラ先生!』  生徒に歴史を教えることになっていた、私  教えることは、好きなはずなのに  あの時、たくさんの生徒たちを連れて、外に出て  みんなの顔を見て、今から教えようとした時——  ——”待って"って、声がした気がした  身体中が、動かなくなって  声が、出なくなって  ……"私に何が、教えられるの?"  他のみんながフォローしてくれなかったら、多分、どうにもならなかった 「私……本当に先生なんて目指してもよかったのかな、って」  ——彼はしばらくして、笑った 「な〜に言ってんだよ、セラ! そりゃあ、最初は多少緊張したりして、完璧とは行かなかったかもしれないけどさ……でも、そんなもんだって」  彼も同じグループだったから、私がどうだったかを知ってる 「最初から自信もあって、うまくやれる奴なんていないって。教師目指す奴は、みんな大体同じだよ」 「そうかもしれないけど、でも私は……」  そうじゃないの。そうじゃないけど  彼には言えない  言ってみたところで、どうしてもわからないんだから  それはしょうがないこと 文句を言うつもりなんてない  今の友達の、誰に言えない  だけど苦しくて  心が重くて 一人ではどうしようもなくて  それであの時——私は、"彼"の電話で—— 「まあ研究室に残りたいって言うなら、それもいいと思うけどさ。うまくやれば、大学で教えられるようになるかもしれないし。教える相手は違ってくるけど」 「——うん、それは、少しは考えてた」 「まあどっちにしてもさ。最近ずっと研究発表やらバイトやら色々頑張ってて、やっぱ疲れてるんだって。気分転換すれば? そうしたら、また変わるかもしれないし」 「うん……それもそうかもね」 「そ。——そういうわけでさ」  彼は元々明るいけど、口調を変えて、さらに明るく言った 「?」 「夏休みどっか行こうよ。二人でさ」 「——え、っと」 「どうせ夏休み暇してるんだし」 「……暇じゃないってば。それに私、そういうつもりはないって——」 「そう言われたのは覚えてるし、だから俺も一応友達付き合いしてきたつもりだけどさ。でも、セラを見てたら何も問題ないんじゃないかなって思って」 「問題ないって……」 「夏にどこにも行かないって、今は、誰かと付き合ってるわけじゃないんだろうし。それか、前の男でも引きずってんのかもしれないけどさ」 「……前の男」  彼とは、1年生の時から、いろんな接点があった  同じ大学で、同じ学部で、同じゼミ  もう少しで、出会ってから3年になる  勉強、大学生活のこと、いろんなことを話してたりした  ——3年前  本当だったら、私は  歴史が好きな、高校生  小さい頃に両親を亡くして、お姉ちゃんと二人で生きてきた  だけどお姉ちゃんは私のために軍隊に入って、でも私は寂しくて——  それでも家事をしながら、勉強もして、エデン大学に入ることを目指してた  だけど——コクーンの敵、ルシになってしまって  それでも追いかけて来てくれたスノウと、結婚の約束をして  お姉ちゃんとケンカして  だけど遺跡に囚われて、クリスタルになって  それで、みんなが助けてくれて、クリスタルから戻って  お姉ちゃんと泣いて、抱き合って——  ううん 違う  クリスタルから戻ったけど、お姉ちゃんがいなくなって  スノウとノラのみんなと一緒に暮らして  なのに一人だけ、お姉ちゃんがいない現実が受け入れられなくて レブロに怒られて  スノウを、当てのない旅に出してしまって  それで——あの隕石の夜、ノエルと出会って——  あの、未来を変える旅に出て——  ——首を、振る  ううん。今はそのどちらでも、ないんだよ……  今ここにあるのは、今度こそ、受け入れるべき現実  元々持っていた私の夢 だけど今は、”先生”を選びきれない自分  過去は覚えているのに、でも、過去にとらわれたままでも生きられない  私が生きているのは どこの世界?  過去はもう、どこにもないんだよ  これは、お姉ちゃんがいなくなった時みたいに、パラドクスじゃない  ちゃんと、集中しないと  私は、大学生  ここにはボーダムもコクーンもファルシもなければ、ネオ・ボーダムもオーパーツもゲートもない 「——もう。そんなんじゃないってば。この話は終わり」 「はいはい、わかりましたよ」  彼は首をすくめて、それ以上は言ってこなかった  いろんなことを話す、男友達  それでも私は、一定程度の距離は保ってたはずだった  ……友達のままでいられたら、よかったのに  そう、友達以上の感情を持つことなんてなく…… 「……友達以上の感情、か」  空に浮かぶひとつかみの雲が、曖昧に夏の太陽を隠した  悩みながらも、何とか這うように進んで  ある意味私は、それに集中することで、近づいてくる"もう一つのもの"から逃げてたのかもしれないけど  それが終わってしまうと、嫌でも考えないではいられない  夏休みに入って、数日  部屋の掃除をしたり、平静になろうと努力するけど  はあ、とため息 「……どうしよう」  焦る もう時間もないのに  それは、嬉しいとか、楽しいというよりも——  ピロリロリン  音が鳴ってケータイを見ると、写真が送られてきていた  真っ青な空と、その色を映す海面 白い砂浜には、水際で遊ぶ子供たち  送り主は、スノウ。送り先は——いつものみんな 『よ! 夏だな! 元気か? バイクの旅もそろそろあっちーぜ! 日焼けして皮が剥けらあ!』  いつも定期連絡みたいにして、行った先々の写真を送ってくれる  ——本当だったら、今頃  私も、そのバイクに乗ってたかもしれないのに、ね……  どんなところに行くのかわからない、向こう見ずの彼  それでも、何とかなるって思えた 馬鹿だって言う人もいるかもしれないけど  その大きな背中につかまって  風を切って、いろんな場所の景色を見る 『セラ! ここ、連れてきたかったんだ。ボーダムみたいだろ? なっ!』  ネオ・ボーダムを見つけた時みたいに、嬉しそうにニッと笑うスノウ  文面にはないけれど  もし私がその場にいたら——そんなことを言ってたのかなって  頭の中だけで、想像する  ……過去の私は、それを望んでいたのにね  どうしてなんだろう……  ”きれいな景色だね ちゃんとヘルメットかぶってたら紫外線も守ってくれるんだからね、気をつけてね”  そこまで書いて送信をしようとして——  ふと指が、続きの文章を打った  ”ノエルと、会ったの?”  ——その後に押すことができたのは、削除ボタンだった  あの日——  生徒に歴史を教えることに悩んでる時、予期しない電話が、あった  知らない番号からかかってきたら、出ないときもあるけど。その番号には、見覚えがあって…… 『あ、もしもし。夜遅く、悪い。俺、ノエルだけど——』  一瞬で、体が固まって  耳を——疑って  ……ううん。ノエルって言っても、同じ名前の人かもしれない  似たような声の人だって、いるかもしれない  だって——私の番号なんて知らないだろうし、大体ノエルが私に電話することなんて—— 『……もしもし? 聞こえてる?』  それでも……やっぱり、懐かしいあの声で、続けるから 勇気を持って 『——……ノエル?』  そう言うと、少しして、返ってきた  どこか驚いた声音で 『……セラ?』  ノエルじゃなかったら、私の名前なんて呼ばない  やっぱり、ノエル……なんだ  私の知ってる、あの——  そう思ったら、胸が詰まった……  ——でも 『セラ』 『……うん』 『——その、セラ』  でも、駄目なの  今、その声で、名前を——呼ばないで  ちゃんと目の前にある現実を、今度こそ受け入れていかなきゃいけないのに  過去が呼び起こされたら、私は—— 『——セラ、』  駄目だってば…… 『……聞こ……てるよ』 『セラ? ……大丈夫か?』  心配かけちゃ、だめ  ちゃんといつも通り、話さなきゃ  大丈夫だよ、って言わなきゃ  なのに 『——つらい、のか?』  ノエルがそう聞くから  後のことは、あんまり覚えてない  ただ——涙だけが、溢れ出て 『…………ノエル……に、……あいたい——』  そこまで思い出して、はあ、とため息 「なんであんなこと言っちゃったんだろ……私」  タイミングが、悪かったんだよね  たまたまだったとしても ちょうど私が悩んでる時に、電話をくれたから……  でも——  それからしばらく私が落ち着くのを待ってくれて  そして、言った 『——セラ。今日はもう、遅いけど。いつなら時間取れる?』 『……時間?』 『そう。少し余裕のある日とかさ。ゆっくり話せる時、ないか?』 『今は夏休み前、で、学校がいろいろバタバタしてるから——夏休み入ったら、かな』 『あ……そうか。夏休み。忘れてた。でも、もうすぐだよな』 『……うん』 『じゃあ夏休みになったら……セラのところ、行くよ』 『えっ、でもノエル——』 『いいから。——俺も……セラに、会いたい……』  そう言ってくれた人が——来るんだ  それも、今日 「…………もう。私の……バカ」  はあっとため息をついて、玄関に向かう  ふっと下駄箱の上に、目をやる 「——モーグリ」  “この世界"に転生して——しばらくして、自分で作ったぬいぐるみ  きっと会えるんだから、そんなの作らなくても……って思っていたはずなのに  どうしても、寂しくなって モーグリに……会いたくなって  目も鼻も、ポンポンだってちょっとズレてるし  手足だって、こんなに短くなかった気がするし  ちょっと違うな、なんて、お姉ちゃんに言われたけど 「ねえ……モーグリ」  頭をぽんぽん、と触って、話しかける  ——だけど相変わらず、答えてくれないね  ……当たり前、かな 「これから、ノエルが来るんだよ。モーグリも、会いたい……?」  ちょっとずれた細い瞳が、見つめ返すようだけど 「モーグリだったら、何て言うんだろうね。  モグはもう、投げられたくないクポ!って言うかな? ……ふふ、散々投げられてたもんね。私も、投げてたんだけど。——あの時は、ごめんね。嫌がってたのに」  私は見てただけ、なんて言えないかな  確かにノエルが一番投げてたけど、私も結構投げちゃったよね  クポクポクーポー、って嫌がってて……罪悪感がなかったわけじゃないんだけど  その後に嬉しそうに何かを見つけてきたり、何もなかったクポ……ってしょんぼりして帰ってくるのが、何だかかわいくて 「……」  モーグリが、何て言うのかは、わからない  でも——ノエルと、モーグリと。3人で旅してた時を思い出すと  いつも自然と、笑みがこぼれて  その後に——たまらなく、寂しくなって 悲しくなって 「……ごめんね。もう、あの時には戻れないのに」  緩みそうになる涙腺を何とか引き締めて、はぁー、と息を整える  そっと玄関を、開ける 照りつける日差しに、思わず目を細める  今日も、暑くなりそう  楽しそうな学生たち、家族連れを横目に見ながら、駅に向かう  ——ずっと、考えてた  なんで、会いにきてくれるんだろう  学校とか、バイトとか、してるんじゃないのかな 忙しいはずだよね  私が泣いてたから、仕方なく……かもしれない 優しい人だから  でも私みたいな、過去の人 思い出さなくてもいいはずでしょう?  だって……今、幸せなんでしょう? 静かな生活を、過ごしてるんだよね  あ、その話を聞いていればいいのかな  やっと手に入れた生活を……お祝いしてあげればいいんだよね  ノエルはたくさん話すことがあるかもしれない  ……でも私には、そんなことはない  私は、何を話せばいいんだろう  自然と、駅に向かう足の速度が、弱まっていく  いつかノエルに話した夢 先生になりたかったこと  自分からその選択肢を選ばないのかもしれない  そんなこと話したって、どうなるってものでもないよね  それに——大体が  ノエルに応援してもらってたこと お姉ちゃんとスノウとの幸せな暮らし  そんな根本的なことだって実現していない  これから実現するのかもわからない  一生、しないのかもしれない  何してるんだ、って怒られそう  ただ私が、過去の記憶と今の生活をうまく受け入れられてないなんて  そんな楽しくない話、ノエルは聞きたくないんじゃないのかな  ただ、ノエルを困らせるだけで……  階段を上って、駅の構内に入る  天井が高くて、賑やかで、人の話し声がたくさん  明るい顔をして、遠くを見つめている人がいる  暗くて、今にも倒れ込みそうに歩く人もいる  穏やかに、子供の手を引く人もいる  栄養状態も衛生状態も悪くて、通路の横にうずくまっている人もいる  いろんな人がいて、いろんな状況がある  それでも……このせかいには、みんながいきてる  ——うん そんなに深く考えなくていいじゃない  この街にはスノウも来た お姉ちゃんも来た それと同じだよ  怖くても、ただ、会ってみればいいだけじゃない……  ノエルが過去に願ってくれたこと、私が同じく夢見たこと  その全てが、何もかもが、叶ってなくたって  この世界は、動いてる  人は、生きてる  世界は、救われてるの  ——少なくとも、前よりは  駅の中を、風が通り抜けて 髪の毛が流されていくのを手で押さえる  列車がついたんだ もうすぐ約束の時間  大きな階段を見てると、人がたくさん降りてくる  もうすぐ、ノエルも降りてくるかもしれない  緊張して、何だか息も浅くて  必死で目を凝らして、ノエルの姿を探して—— 「———」  瞬間、思わず、その方向に背を向けた  昔と違うのは、”現代風”の服を着てること パーカーに、七分丈のカーゴパンツみたいなのを履いてて 大きなバッグを背負って  でもすぐ、わかる  昔と同じ  少し長くて、首を覆うような焦げ茶色の髪  スノウ程じゃないけど、背が高くて、細身の筋肉質なところ 変わってない  そして——物珍しそうに、不慣れそうに、きょろきょろしながら歩いてる  それはどこか、”あの旅”の途中、初めて訪れる時代の光景を目の当たりにした時の仕草、そのまんまで  懐かしさがこみ上げて——嗚咽が漏れそうで  思わず手を口に当てる  私を捜してるのかもしれない、けど——  私は、振り向けない  やっぱり、振り向く勇気がない  胸が苦しくて、涙が出てくる  でも、だって、足が動かないんだよ  動かそうとすれば、ノエルから逆の方向に動いていく 「ごめん、ノエル。  でもやっぱり、合わせる顔なんて……ないよ」
久しぶりに更新しました。 なのにこの遅々とした感じすみませんです(>o<) ファミ通ベースのセラさんの今を書きながら!!っていう感じで……

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