FF13-2発売5周年の遅ればせながらのお祝い + メリークリスマス な短文です。
距離感近めですご注意下さい
目を閉じていても、柔らかい光を感じる。
遠くに聞こえるのは、さらさらと何かがこすれるような音。ついでに、ぺた、ぺたん、とささやかな音も。
暖かいまどろみに入り込むのは、それくらい。その落ち着きに、身体全体が心地よく包まれてる感覚。まだもう少し、このままでもいいか……
目を閉じたままで身体のすぐ横に手を伸ばすと、少しひんやりした、滑らかな布地の感触だけが指先に返る。
「……あれ」
かすかな違和感に、意識が少しずつ上っていく。
ゆっくりと、まぶたを開く。ベッドの残り半分は、主のいないまま、抜け殻みたいな肌掛け毛布が広がるだけだった。
意識の範囲を、もう少しだけ膨らませる。きゅ、と蛇口が締まる音が、開け放たれた扉の方から聞こえる。
——指に触れるはずだった人は、その向こうから姿を見せた。
でも、その様子はいつもとは違った。
肩から足の指先まで、すっぽりと毛布にくるまってる。大きな瞳は、いつもの半分くらいしか開いてない。心なしか、顔も赤みを帯びて。身体の芯がないみたいに、左右に揺れそうなのを何とかこらえながら、よたよたと進む。そんな感じがした。
「セラ?」
自然に、身体がベッドから跳ね上がる。立ち上がって向かう間に、セラの方も俺に気づいてくれる。
「……あ、おはよう、ノエル……」
ふんわりと笑顔を向けてくれる。けど……やっぱり、いつもみたいな元気がなかった。
弱々しく言い終えると同時に、重心を失ったようにふらついて。素早く腕を差し出すけど間に合わなくて、真横の壁にとん、とぶつかった。
「どうした、セラ、体調、悪い?」
「ん、大丈夫……」
「じゃないよな。歩けるか?」
両手でその体を支える。と、そのままずるずると俺の方に体がもたれかかってきた。力が全然、入ってない。とっさに、抱きかかえる。
「……相当、重症? どこがしんどい?」
「……どこ……うーんと……」
要領を得ない。体調悪いときは、そんなもんか。
「もう、いい」
片腕をセラの両膝の裏側に差し入れる。もう片腕は、背中。よっ、と声をかけて持ち上げると、何の抵抗もなくセラの身体は浮いた。
うなだれるように、頭は俺の体に預けられる。
「……ノエル」
「寒い? 熱も、あるんじゃないか?」
「……うう、ん。大丈夫だよ」
「でも、油断禁物」
そのまま、元いたベッドに身体を慎重に横たえた。
自分のおでこをセラのそれにくっつける。念のため、おでこから、こめかみ、頰と位置を変えていく。手のひらに感じるのは……まあ、普段通り? 極端に体温が高いってことは、なかった。
「確かに、平熱。じゃあ、何だろうな……今日じゃ、医者もやってないかもしれないし」
「ほんとに、だいじょうぶ、少し……休めば」
「でも……」
しんどそうなのが可哀想で、顔や、薄いピンク色の前髪をそっと撫でていく。
——とその間にも、セラが、どこか息を詰めたように目をきゅっと閉じてることに気がついた。
「……セラ?」
「……あ、うん、ん、あ、ううん、ごめん……」
小さく、首を振った。
閉じたままの瞼に触れると、その震えが伝わった気がした。
「……は」
浅いため息を吐き出した。そして少しだけ目を開けて、眉尻をさげた。
セラは、セラの顔に触れていた俺の手を両手で包んだ。
「ノエルの手って……不思議だね」
「不思議、って?」
「でも、ちょっと、おやすみ。ね……?」
「……おやすみって」
「だって、あんまり…」
囁くくらいの小さな声。
「……あんまり?」
聞き取りづらくて、何?とその唇に、耳を寄せる。
「……もう。そういうのが駄目なんだってば」
「え、だ、駄目なのか」
「……駄目じゃないけど。今はその……」
言いにくそうに、セラの声は、一層小さくなった。
「あんまり、またさわられちゃうと、その……からだじゅうに……昨日の、ノエルの感覚……まだ、すごくて……だから」
「………」
久々のLIVE TRIGGER
○ 優しくする!
□ そんなこと言われたら逆に、優しく……できない……かも?
FF13-2発売5周年の遅ればせながらのお祝い + メリークリスマス
ろくさんの励ましのおかげで、超短文ですが書けました。ありがとうございます!
や、正確を期すために言っておきますとろくさんの5周年記念絵は非常に爽やかで美しいものでした……(Twitterよりご覧になってください……)
それがなぜこういうのなのかは、自分でも不思議です……。
ノエルどんなかっこしてんだと思いましたがそれはご想像にお任せしますということで……笑
みなさんは、優しいノエルと優しくないノエルはどっちがお好きでしょうか?
やーたのしいです←