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Echoes of You (1)

私の居場所 ※ファミ通後日談小説セラのイメージです。 ※変形スノセラノエユルみたいな……のでご注意ください。 『未来を変えよう』  そう誓い合ったあなたは、もういないんだ  もう、未来は変わったから  私たちが一緒にいる目的は、果たされたから 『また、会えるから…』  たったひとりになる前にそう約束した、大切な人と一緒にいるから 「おう、セラ。久しぶりだな」 「うん。元気だった? ——少し、焼けたかな」  久しぶりに見るスノウの顔は、前より少し色が濃くなっていた 「ま、ずーっとバイクで外走ってるわけだしな。砂埃もかぶって、きったねえだろうな。わりぃな」 「それに、またひげ伸びたね。また、野宿生活?」 「まあな。って言っても、安全なもんさ。俺みたいな奴に何かしようって奴はいねえしな」 「そうかもしれないけど……たまには、ちゃんとしたところで休んでね」 「わかってるって」  そう屈託なく笑って、そういやさ、と彼はポケットから何かを取り出した 「これやるよ」  渡されたのは、白い紙  よれよれになっていたけど、折り目自体はきれいだった 「大変だったんだぜ? 燃料切れ起こしそうになるしよ。それに人も多いけど色んな奴が生活してる街で、やっと着いたらバイク狙う奴も多くてよ。油断ならねえところでさ」  言葉を聞きながら中を開くと、きれいな字でいくつかの番号が書かれていた 「? スノウ、これって——」 「ノエルの連絡先な」  その言葉に、胸が飛び跳ねた 「ずっと探してたんだけどさ。ようやくこないだ見つけて、会った」 「……そうなんだ。今は、何してるの?」 「詳しくは、聞いてねえ。でも、ユールと一緒にいるみてえだな」 「そっか。そう……なんだね」  ——あの死にゆく世界で、彼女のことをどれだけ大切にしてたか  その大切な存在をなくしてしまって、どれだけ絶望してたか  あの旅の中で、彼女に会うことをどれだけ心の支えにしてたか  話してくれて、そして、彼の夢の中でも見て  私は——痛いほど知っているから 「また、会えたんだ……じゃあ今、幸せなんだね。——ありがとうスノウ、いいお知らせをくれて。この紙は、返すね」 「……何だよ。連絡すりゃいいだろ?」 「ううん、いいの」 「何でだよ」 「ノエルは今、大切な人と一緒にいるんだから。そっとしてあげたいの。ノエルはずっと大変だったんだから、静かな生活を送りたいはずだよ」 「しずかなせいかつ? ……バッカだな」  冷静に、現実的に、考えたら—— 「……バカじゃないよ」 「大切な人? 俺達だってよ、みんな大切な仲間だろ。それが、そんな遠慮しててどうすんだよ! 会えるんだから、会いに行きゃいいじゃねえか! 今の俺たちには、何の制約もねえんだ」 「そうだけど。今を幸せに生きてるなら、それでいいんじゃないかな。過去の人になんて、会わない方が幸せでしょ?」 「んなこと、誰が決めるんだよ! こないだ会ったとき、あいつだって、セラのこと気にしてたんだぜ」  どきん、とまた胸が跳ねる 「……そんなの……ただの世間話だよ」 「んなことねえって! ——……あのな、あいつはさ」 「……?」 「今は確かに、守りたかった人と一緒にいるのかもしれねえ。でもよ。ノエルも——セラを死なせたこと、あの500年間ずっとずっと、後悔してたんだぜ。ルミナの嘘に、すがりつくくらいによ」 「……、……」  何度も聞かされたんだから、心は慣れてもいいはず  なのに何度聞いても、胸が絞られるように苦しい 「だから……連絡してやれよ。会いに行ってやれよ」  そんなこと、言われたって…… 「なんでスノウが、そこまで言うの? だって……今更だよ」 「セラ!」 「今更、どうするの? ノエルだって、私と会って、そんな辛かった時のことなんて……思い出したくないでしょう?」 「そんなことねえ! あいつは——」 「——ノエルだけじゃない、他のみんなだって、同じだよ。お互いの連絡先知ってたって、積極的に集まろうなんてしないじゃない。……みんな、あんな過去のこと本当はもう忘れたいんじゃないのかな。そっとしておきたいんじゃないのかな。もう敵はいないんだし、私たちが一緒に集まって戦う理由なんて、何もないんだよ……?」 『——命がけで戦ったのに、世界は壊れて私は死んだ。これが失敗でなくて何なの?』  そう思ってるわけじゃないのに、どこからか聞こえてくるような 『だから私は捨ててしまうの』  違う、大切な過去だよ。そう言い切りたいのに 『意味のない過去はもう振り返らない。過ちの記憶は——』  意味のない過去……  過ちの記憶……? 「——俺たちの、絆はっ、そんなもんだったのかよ! お前らの旅はっ、そんなもんだったのかよ!」  スノウが怒った声が、空気を震わす  違うよって、声を振り絞って叫べたら、どれだけいいんだろう  だけど、言葉にしたら、きっと……私は 「だって……」  声が、震える 「だって、もし、ノエルがあの旅を失敗だって思っていたら  あの旅のことも、その後の500年のことも忘れたいって思ってたら」  言葉が、途切れ途切れに、零れていく 「……私、どうすればいいの?」  こみ上げて——止まらない…… 「わりぃ、セラ……んな顔するなよ」  気付いたら——私は、スノウの腕に抱き寄せられていた 「心配することなんか、ねえよ」  大きな手。コクーンを敵に回してもって言ってくれた時と……同じ 「セラは、絶対、大丈夫だ。絶対な」  なのに私の心は、ひねくれて…… 「スノウの絶対なんて……わからないよ」 「ひっでえなあ。セラまでそんなこと言うのかよ。——ま、合ってるけどな。俺こそ、何もできなかった奴なんだしな」  スノウの、少し拗ねたような苦笑いが、上から落ちてくる  思わず私は、首を勢い良く振った 「ううん! ……ごめん。ずっと……ずっと、私のこと助けてくれてた……」  あの日の、花火の下の約束は、  ずっと、宙ぶらりんになっていて—— 「……いいってこった」  ふぅっと息を吐いて、スノウの身体が離れて  にっと笑って、その大きな手が、ぽんと頭に乗せられた 「セラは、大丈夫だ」 「……スノウ」 「だから——何と言おうと、俺は渡したんだからな。もう返されたって、受け取らねえんだからな」 「……」 「あいつに、連絡してやれよな」  私の心は、どこにも行かず  中途半端に漂うだけ  そうして、その白い紙きれは私の手元に残った  夜になると引き出しから取り出しては、きれいな折り目を開いて ぼんやりとその数字を眺めてる 「……綺麗な字」  スノウはこんな風にきれいに字を書くことはない  だったら、ノエルが書いたのかな  今——どうしてるのかな  あの悲しかった死にゆく世界や、私が死んだ後の500年間と違って——ちゃんと当たり前に学校にも行って、勉強できてるのかな  頑張り屋さんだから、きっと何事にも真面目に取り組んでるんだろうね  もう誰かを失くすなんて悲しい思いはしないで、ユールを守って生きてるのかな  ユールもちゃんと、普通の人と同じような暮らしを送れてるのかな  人の多い街に住んでるって言ってたから  ”みんなが生きてる未来”——きっと、実感してるんだね  短すぎる命に、嘆くこともない。でも、長すぎる生に倦むこともなく、それぞれの命を生きている——  いろんな奴がいるって言ってたから、たまには危険もあるのかもしれない  だけど、きっとノエルがユールを、いろんなものから守ってるんだ  守護者、だもんね……  すべてを守って、そして、平和な未来でまた出会うことを夢見てた  ずっとずっと、夢見てたこと  やっと、実現できたんだもんね  その紙の向こう側のぼんやりした笑顔を、つい想像して、そして机にまた戻す 「……きっと、今が、幸せなんだよね」  ノエルはこの連絡先を、いつ、どういう気持ちで書いてくれたのかな  少しは会ってもいいなんて、思ってくれてるのかな——なんて、考える余地もない  今が幸せなら、あんな記憶に縛られることないの。過去のことなんて、思い出さない方がいいんだよね……  その紙を、捨てることもできたのかもしれない  それでも、紙切れだけの細い繋がりであっても——ゼロにしてしまうことは、できなかった 『連絡すりゃいいだろ?』  そんな軽い気持ちで連絡ができたらどれだけ楽なんだろうって、思いながら 『セラを死なせたこと、あの500年間ずっとずっと、後悔してたんだぜ』  スノウの言葉が、頭の中に響く  だけど もしもノエルが、私のことを過去の後悔や失敗として覚えてるのなら  ——私を死なせたことなんて、忘れてたっていいの  あなたには、いつも前を向いて生きていてほしいから 『未来は変えられるって、俺は信じる』  どんなに辛いことがあってもまっすぐにそう言っていた時のあなたで、いてほしいから  なのに 『セラ、お前、まさか——』  意識がなくなる直前に見た、あの表情 『駄目だ! 視るな!』  何かに怯えたような—— 「……嫌」  その少し前までは、あんなに笑顔で手を取りあっていたのに  私たちの旅は、笑顔で振り返られるはずのものだったのに 「私が、あんな顔させた…」  あんな過去の記憶で、あなたを縛ることはしたくないから  それに—— 「本当は、きっと、怖いんだ……」  あの旅でノエルに会って、強くなったはずなのに  こんな風に過去のことを思い出して、また弱くなって、めそめそして泣いてる自分なんて  ……見せたくないんだよ  幻滅、させたくないんだよ…… 『セラ』  何があっても負けない、あの優しい笑顔を見たら  私もまた、強くなれるんじゃないかって……思って……  そんな風に結局人に頼ってるのが嫌で、一人でいるのに  でも 「私だって——また、会いたいんだよ、ノエル……」
ファミ通後日談小説をベースに妄想を広げたらこんなに暗くなってしまいました、セラさん小説です。 あれをベースになんて書きません、ってところだったんですけど、どうにもセラ→ノエユルっぽいのが悶々と頭をひしめいていたので、勢いで小話として吐き出しました。 なんかもうでもそんな感じじゃないですかね!(ドン)一人だけなんだか記憶に縛られてるセラ、なんとなく平和そうなノエル。お姉ちゃんはもう自立してるし!いや、私の頭の中だけですね。すみませんほんとに! あとですね、スノセラ←ノエはあっても、セラ→ノエユルがなんだかとても新鮮でした……(こら) それと変形とはいえスノセラっぽいものを書いたのもとても新鮮でして。 いえ、まあ、あれがスノセラなのかって言われると…ちょっとよくわかりませんけど…なんだこれ…と書きながら思いました そもそもまともにスノウとセラの会話を書いたのが初めてのような。みなさんのイメージと違ったらすみません… 自分としては新鮮だらけの小話でした。 セラにも幸せになってほしいですね、やっぱり! それと13のEDは幻になったけど、今度こそ姉妹の笑い合うところも見たかったですよ!ほんとに…

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